2009.03.23 Monday
暗式
目のところが穴になってしまった
でもだいじょうぶ
土器だからってもういじめられることはない
この線にならんで
いっしょにこわれましょう
まわりでは
ほらみろ
やっぱりでかい等号がおちてくるぞとおお騒ぎ
そろって
亡骸になってしまうのかもしれないね
おっぱいなんか
いっそ石でもよいではないですか
(いや、それはこまるな)
まぶしいことと
意味がさだまらないというのはおんなじこと
そうだとしても
散乱するじぶんをひかりにたとえることはできない
その
くるしそうな顔があなたです
思いがけなく
ほりかえされたひとびと
の肩のむこうをたくさんの穴の目がじっとみていた
なんだか入学式みたい
やあみなさん
彼女は
よくみると土器で暗いけれどよろしくね
2009.03.22 Sunday
虹
この世はまるで
虹の刃のひとふりのようではないか
なんて
これはみごとな鍵かっこ
(虹、にたとえるところがちょっとふるいな)
ぽんこつ
のくせにやおら武術のおけいこをしている
のどがかわいてしょうがない
はいってますか
ここはあの世ではない
主語なんだからあきらめがかんじん
あんなかたち
こんなかたち
がよってたかって
夜おそくに深く組みあわさっている
おかげで
とてものどがかわいてしまう
はいってますよ
オマエハホンニシマラヌ鍵カッコ
あぶないから
だれも感嘆詞なんか投げ入れたりしない
(ああ
この世はまるくて
ていねいにみがかれている
ぴかぴかで
すべって
どこからもぜったいに刃が入れられない
2009.01.27 Tuesday
お知らせ!
参加している詩誌『酒乱』で、今週末、シンポジウムを開催します。
ご興味があれば、ぜひご参加を!。
わたしは会場のお手伝いをします。
第2回「酒乱」シンポジウム「80年代詩を読む」
20、30歳代の若手詩人はどのように日本の80年代の詩を捉えるのか。
パネラー:杉本真維子、久谷雉、郡宏暢、鈴木啓之他 司会森川雅美
日時:1月31日(土)14:00〜17:30
会場:白山 ジャズ喫茶映画館(駅徒歩3分)
東京都文京区白山5-33-19
TEL 03-3811-8932
http://www6.ocn.ne.jp/~eigakan/
料金:1000円+1ドリンク以上
終了後の懇親会有(4000円程度 要予約)
※懇親会にご参加希望の方は、廿楽までご連絡ください。
廿楽E-mail: junji@tsuzura.com
2008.12.07 Sunday
雨骸
ながく生きても雨になるだけじゃいやだ
そのひとが
ふいにおおきな音でふりだしてきた
(おまけにきんたまもごろごろ鳴ってるよ)
ゆくところがなくなって
ちぇっ
かたむいたプラスチックの手桶になるしかないか
でも猫背はいけない
さむらい
としてそれははずかしい
へんな構えのくせがぬけねえや
四十をこえると
まじめな顔が死相にみえる
どうしても
くつ下が片方しかかわきゃしないよ
妻にいわれて
又衛門のように階段をかけのぼっていった
(このやろう)
束になってかかってこい
せっしゃは傘ももたずにあだ討ちにやってきた
昼やすみに
死んで
ただ晴れるだけじゃいやだ
討たれたひとのほうから
ぎゃあという虹がうまれでるのをみてみたい
2008.10.26 Sunday
松下育男「初心者のための詩の書き方」最終回
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いよいよ松下育男さんの「初心者のための詩の書き方」も終章となりました。名残惜しいですが、仕方ありません。はじまってしまったものは、おわるほかない。
10
詩を書くということはね
書いた詩以上のものが書けなかったということを
白状することなんだ
つまりね
創作することは
自分の能力をさらしてしまうことだから
とても勇気が必要で
恥ずかしさを伴うことなんだ
自分よりもずっと優れた人たちに向けて
「こんなものしか書けないけど」って
見せることなんだ
そんな思いをしてでも
書いて発表したいっていう気持ちがある人だけが
詩人になれる
つまり詩人っていうのはね
かっこつけていたらなれない
自分をごまかしてよく見せるようと思うんなら
別のことをしたほうがいい
必殺技、というのはどんな物語でもさいごに出てくる。それをいっちゃあおしまいだよ、というさいごの攻撃を、ひとは浴びるだけ浴びるほか手立てはない。
そういえばずっと別のことをしてきたのだ。
白状する気になったのはさいきんのこと。
はじまって続いてきたものが、もうあと半分もない、ということに気づいて、ふいに開き直りはじめたのだった。これは長い禁煙のあと、突如吸ってしまった一本で挫折したときににている(へんな例えだな)。
やっぱり病気がなおっていなかった、ということなのである。
などと、自分のことを言ってもはじまらない。
最後に、わたしがたぶん一番最初に出会った松下さんの一編を引用します。一編の評価、なんてものはきっとどうでもいいと思う。その一編のかたちをした傷跡が、自分に残っているかどうか。
けっきょくはそこに戻ってくるのかもしれない。
休日
松下育男
町のはずれに
塀があるので
曲り角のすじに体をあて
どちらも世界だと思い
はしゃいで
かわりばんこに見ていたら
弱ってきて
どちらかの世界へ
肩から倒れこみそうになったので
塀に
へばりついた
※詩集『榊さんちの猫』(1977年刊)より。
「どっちの世界もさようなら」